計画外の作業

静音グッズとして販売されている「静音計画」(商品名)。今回はそこから離れ、「制振」と「吸音」に着目した作業を実施してみました。
rubber

そのためには、内張りをはがすという作業が必要となります。今回はリアハッチを対象としますので、クリップを外す作業を実施。その際、市販のリムービングツールがあると、より作業がしやすくなります。
remove

clip
ここを留めているクリップの形状はこのような感じ。これを知っておくと、引き抜く際の心の準備ができると思います。

before
内張りを外すと、すぐにその内側を見ることができます。特に何かが詰まっていたり、加工されていたりということはありません。

after
そこで、外板を軽くノックして軽い音がする部分に制振材を貼り付け、ヘラを用いてよく密着させます。

filled
あとは吸音目的でマット状のクッションスポンジを空間に詰め込み、内張りを元に戻して完成です。もし、ニードルフェルトが手に入る場合は、クッションスポンジの代わりにそれを詰め込むのも手です。
ここで、中に詰め物をする際は、ラッチ部内側のコネクタに荷重がかからないよう、詰め物の一部をくり抜いたり、そこを避けて詰めたりするなどの配慮をしたほうがいいでしょう。もしコネクタが破損したり、接触不良になったりした場合、ラッチの解除は完全に電気式のため、通常の方法でリアハッチを開けることができなくなります。

mat
作業が終わってクッションスポンジが余った場合、追加の吸音効果を狙うために後部座席のフロア下に敷くのも手です。その際、フロア下からの音を遮音する能力はないに等しいので、可能であれば遮音マットを併用するといいでしょう。
ただし、前部座席下へ敷く場合は厚さの関係上すべり止めが使えなくなるのと、厚さの分だけペダル操作に影響を及ぼすことになりますので、すべり止めが使える程度まで長さを調節し、かつ安全な場所で操作に支障がないことを確認したほうがいいでしょう。

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実は、前回の工事終了後、エンジンの停止中であっても低域の暗騒音が耳について少し耐え難いものがあったのですが、今回の工事で主に後部の吸音を考慮することにより、その現象はかなり軽減されました。また、車室内での余分な反響やこもり音がある程度吸収されるようになったからかどうかはわかりませんが、少なくとも音響装置から出てくる音が聞き取りやすくなる効果が得られました。

ということで、自動車の音響を改善するためには、よく話題になる「デッドニング(またはドアチューニング)」による制振や遮音だけでなく、ある程度吸音ということについても考慮したほうがよさそうです。