勝手にFDC~いわき市の環境水族館


福島県いわき市の小名浜港近くにある「水族館」。
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ふくしま海洋科学館(アクアマリンふくしま)
ふくしま海洋科学館(愛称:アクアマリンふくしま)

  • 2000年に開館
  • 2011年の災害後、同年7月に営業再開
  • 福島県いわき市
  • 午前九時開館、入場料は大人1,800円


入場して順路どおり巡ると、まずは「ユーラシアカワウソ」の姿を見ることができます。
ユーラシアカワウソ/Eurasian otter
展示の趣旨を理解し、既に絶滅宣言がなされた「二ホンカワウソ」のことを思い出しながら観察したいところです。


この施設は「環境水族館」ということで、生物の生息環境を模したエリアに水槽があるというスタイルで多角的に見ることができるようになっています。

また、このエリア内では鳥類が飛び回る姿も見られます。


さて、この施設の特徴的な展示がこの通りに集まっています。海や川、そこに生きる生物とヒトとの関係を考える場所です。「漁場から食卓」までの過程で考えなければならないこととは……。

たとえば、水産物の管理。単に保護すればよいということではなく、「何は従来どおりでよく、何は再考が必要」なのかを考え、適切な水産資源の消費につなけること。

2010年代の福島県の農水産物でどうしても切り離して考えることのできない、「放射性物質」との関わり。

【参考】
「放射性物質」は放射線を出すことができる物質、「放射能」は放射線を出す能力のことを指す
「ベクレル(Bq)」は放射能の強さを表す単位、「シーベルト(Sv)」は放射線の人体への影響を表す単位
β線はアルミ板、x線でも鉛板で遮へいできるので、適切なシールドで外部からの放射線の影響は軽減できる
日本における一人当たりの自然放射線被曝量は約1.5から2[mSv/年]
一般公衆に対する計画被曝の線量限度は1[mSv/年]、発電所等での作業者でも50[mSv/年](緊急作業時は100[mSv/年])
検診等でのX線による検査では約0.06[mSv/回]
2017年12月に富岡~浪江間を走行する鉄道代行バス車内における線量は帰宅困難地域走行時に約1[μSv/h](車内モニタ表示値、年換算で8.76[mSv/年]相当)

チンアナゴ/Spotted garden eel
一般に単独で展示されることが多い中、大水槽の一角に集まっている「チンアナゴ」。
チンアナゴ/Spotted garden eel
「チン」は「狆」からきているということで、戌年に関係する生物として紹介している一例です。


これまた本施設のシンボル的な「潮目の海」と呼ばれる水槽。ここはリアルな食物連鎖を実感できる場所となっています。

象徴的な存在となるのが、この「寿司処」。泳ぐ魚を見ながら魚介ののった寿司をいただくことにより、魚とヒトの間の食物連鎖、命をいただいていることを実感できるようになっています。
また、ネタは資源量の安定したものに絞られているのも、この施設が提唱する「ハッピーオーシャンズ」の実施例として注目したいところ。


……と言っていたら、生体の展示例がここだけというエビの解説に「食べても絶品」とあったり、

釣り堀で釣った魚を調理してもらい、その場でいただくことができる施設があったりするのも特色。水生物とヒトとの間に「水産資源」という関わりがあることを常に意識し、この関係を長く続けていくためには何をすべきなのかを考えるきっかけになるのではないでしょうか?


海に面したビオトープがあるのも印象的。

この光景を見ると、「環境水族館」という名がぴったり合うような気がしますね。

画像はありませんが、この施設の災害復興に際してクウェートからの支援金が寄付されたことに関連し、砂漠を模したスペースに「フェネック」が展示されています。ただし、夜行性なので、普段は寝ている姿を見ることが多いかもしれません。