ヤギからキリンへの変化

キリン/Giraffe
なんとなくぼやけてしまったために、ヤギなのかキリンなのかよくわからない画像から……
キリン/Giraffe
キリっとしたキリンの画像を得られるようになるまでの過程。

【おことわり】
本記事で掲載した画像は、ウェブログ掲載用に元画像からの切り出し、および640×640[px]に縮小した以外は、シャープネス等の補正をかけておりません。

実は、かなり早いうちから70-200mmの望遠レンズをEOS 9000D(EOS M3と電池を共通化できるため、EOS 80DやEOS Kiss Mではなく、あえてこちらを選定)と組み合わせてのテストを繰り返していたのですが、当初は何度繰り返しても冒頭のようなぼやけた画像ばかりしか得られなかったため、上記組み合わせによる作例の公開が遅れていました。

画像記録の条件は、
前者:1/320 F3.2 ISO100 0.0EV
後者:1/1000 F5.6 ISO200 +0.3EV
なので、前者であっても極端に悪い条件で記録したわけではありません。

今回は、これまで画質改善のために試してきた施策を以下に紹介します。

レンズとカメラ本体をセットで調整に出す
レンズの保証期間内であれば、メーカでレンズの焦点調整をしてもらえる場合があります。また、カメラ本体とセットで依頼すれば、その組み合わせ限定とはなりますが、組み合わせた状態での調整をしてもらえる場合があります。
修理報告書を見ると、当方の機材ではレンズ単体、およびカメラ本体との組み合わせのいずれにおいても、後ピンの傾向があったようです。
(上記の内容は、メーカによって対応が異なる場合があります)

自分で焦点の調整をしてみる
レンズメーカが提供する調整ツールを用いて、またはカメラ本体に同等の機能がついている場合は本体の機能を用いて、焦点の位置を微調整することができます。
しかし、これは実写と調整を繰り返して詰める必要があるほか、望遠レンズになると奥行きのある調整場所が必要となるので、初心者には難しいかもしれません。

レンズをきちんとホールドする
いくら手ぶれ補正を有効にして高速シャッターを選択しても、シャッターを切る瞬間にカメラ本体やレンズを動かしてしまうと、得られる画像は不鮮明になります。特に、望遠レンズを用いる際はレンズの先端を支えるようにしてあげると、ぶれによる影響を軽減できる場合があります。また、シャッターを切る際は腕を動かさず、脇を締めるとともに、指先だけを動かすようにすることも重要です。

適切な手ぶれ補正を使用する
流し撮りをするということは、意図的に大きな手ぶれを発生させていることになりますので、通常の手ぶれ補正を使用すると逆効果になる場合があります。この場合は、流し撮りに対応した手ぶれ補正モードを使用するか、または手ぶれ補正を切り離すようにします。

シャッター速度は速めに
背景はきちんと写っているのに被写体だけがぼやけている場合、動体ぶれをおこしている可能性があるので、動き回るものを記録する際は速めのシャッター速度を選択すると改善する場合があります。

多少絞る
通しでF2.8のレンズは背景のぼけ具合が美しいのですが、一方で焦点の合う位置が極小になるため、焦点の合った画像を得るのが難しい場合があります。その場合は、動体ぶれを起こさない範囲内で絞りを大きくすると、鮮明な画像を得られる可能性が高まります。

できれば感度設定が低い状態で記録する
周囲の明るさにも依存しますが、カメラ本体の感度設定を上げていくと粒子が粗い画像になるため、その分解像感も減少します。そのため、可能な範囲内でカメラ本体の感度設定が低い状態で記録できるように心がけるようにします。

必要に応じて露出補正をかける
生き物を記録する際に、暗めの背景に引きづられて露出が決められた結果、被写体が白っぽくなる場合があります。この場合、コントラストが減少して解像感も減少することがありますので、必要に応じて露出を暗めに補正するとよい結果を得られる場合があります。

レンズとフィルタはきれいな状態で
実は、これが大きな盲点。
目に見える汚れがフィルタについていれば画像にそれが現れることもあり、気づくことができますが、目視で気づかない程度にうっすらと汚れているだけでも、焦点合わせが甘くなることがあるようです。そのため、写りがおかしいと思ったら、フィルタやレンズ前玉の清掃を試すのも手です。

以上の施策を組み合わせることにより、やっと満足のいく画質の画像を得られるようになりました。

最後に、別の作例で前後比較。
ピューマ/Couger
ピューマ/Couger
前者:1/800 F3.2 ISO800 0.0EV
後者:1/400 F3.2 ISO200 0.0EV