コンパクトカメラのフォーカスシフト?

本ウェブログ管理者は、従来使用していたPowerShot G11に障害が発生したため、代替機としてCanonのコンパクトデジタルカメラ「PowerShot G7 X Mark III」(以下、「G7X3」という。)を入手しました。

いろいろと使用してみましたが、特定の状況において描写力が劣る可能性があることが判明したので、その内容を以下に掲載します。

【おことわり】
以下に記載した内容は、本ウェブログ管理者が所有する個体でのみ検証しているので、他の個体で同様の現象が発生するかは不明です。

本ウェブログ管理者が所有するG7X3では、「F2.2以下で画像を記録すると、画像の解像感が減少する」現象が発生しています。故障を疑い、一度メーカへ返送・点検を依頼した後も継続して発生しているので、もう少し詳細を調査したところ、いわゆる「フォーカスシフト」のような現象が発生している可能性があることが判明しました。

本所に示す画像は、以下のような手順で記録しています。
・絞り優先モードで記録
・F2.8でAFを動作させ、MFへ切り替え(セイフティMF機能は切)
・その状態でF2.8、F2.2、F1.8の条件で記録
これにより、F1.8におけるオートフォーカスの問題である可能性を排除しています。

5cm,F1.8での記録例(全体)
こちらは、ほぼ近接限界である、レンズ先端から約5[cm]に置いたキーボードを記録した画像例。この段階でも、周辺の解像度はあまり期待できそうにないことがわかりますが、今回は中央の「B」に合焦させたので、「B」を中心にして、絞りの変化による解像感の違いを見てみます。
5cm,F2.8での記録例
5[cm]、F2.8での記録例。
5cm,F2.2での記録例
5[cm]、F2.2での記録例。F2.8のものと比較して、やや輪郭がぼやけていることがわかります。
5cm,F1.8での記録例
5[cm]、F1.8での記録例。F2.2のものと比較して、さらに輪郭がぼやけていることがわかります。
この状態から、フォーカスの微調整でわずかに後方へずらすと輪郭が明確になってくるので、単にF1.8の描写がソフトなだけではないと判断しています。

10cm,F1.8での記録例(全体)
同じ実験を、10[cm]離した状態でも同様に試してみました。5[cm]の作例と混同を避けるため、焦点は「N」に合わせました。
10cm,F2.8での記録例
10[cm]、F2.8での記録例。
10cm,F2.2での記録例
10[cm]、F2.2での記録例。
10cm,F1.8での記録例
10[cm]、F1.8での記録例。

ここで、上記の状態からMFのまま「セイフティMF」機能を入にして、F1.8の状態で焦点の微調整をさせた場合の作例を下に示します。
10cm,F1.8での記録例(セイフティMF入)
F2.8で焦点を合わせてからF1.8で記録したときのものと比較して、輪郭がはっきりしてきているので、その点でもレンズ自体の描写力だけではなく、フォーカスシフトのような現象による影響を受けている可能性があると推測できます。また、このことより、どうしてもF1.8で記録したい場合は「MFにしておおよその焦点を合わせた上で、セイフティMFで焦点を追い込む」方法が有効であるように見えます。

もう少し距離を離し、50[cm]とした場合の作例。
50cm,F2.8での記録例
50[cm]、F2.8での作例。
50cm,F1.8での記録例
50[cm]、F1.8での作例。近接記録時ほど焦点がずれたような描写は気にならなくなりますが、それでも多少の影響は受けていることがわかります。

【追記】
F1.8で合焦させてからMFに切り替え、F2.2やF2.8で記録したものと比較する実験も試みましたが、結果は上記と同様に「F2.2以下では焦点が甘くなり、F2.8まで絞ると良像が得られた」ので、参考までにお知らせします。
【追記ここまで】

なお、現実的な使用方法として、明るい場所で遠くの被写体を広角で記録する場合は、これまで説明してきた内容がほぼ気にならないこともあります。また、望遠側を使用すれば、ズームするほどに最小絞りがF2.8に近づくので、F1.8での問題は自動的に気にならなくなります。
F1.8での記録例(全体)
この距離感で記録した画像のうち、ホッキョクグマ周辺を同じ割合で切り取った画像を以下に掲載します。
F2.8での記録例(ホッキョクグマ)
広角端、F2.8での記録例。
F1.8での記録例(ホッキョクグマ)
広角端、F1.8での記録例。体毛の生えている生きものを記録した場合、毛並みの解像感は合焦の度合いに大きく左右されますが、この作例を見る限り、F2.8のものと比較して、毛並みの表現は同等であるように見えます。