「好き」とは何か?

「『好き』とは何かを考えてみる。おもしろそうね。」

「伝説のパティシエ」第十六話で考えてみたこと。
ここに記載した内容は、あくまで本ウェブログ管理者が感じ考えたことなので、制作サイドや他の視聴者等と考え方が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

「好き」とは何か?
(1) 自分がほしいもの、やりたいものを(自分の欲求に任せて)選択すること。「好きにする」ということも。
(2) 自分が有形・無形の対象に対して「楽しい」「愛らしい」と思うこと。「好きになる」という表現のほうが合うかもしれない。
目の前に出された和菓子から任意の一つを選ぶのは前者、お茶菓子を提供したりいただいたりする作法を極めたいという気持ちが生まれるのは後者。ただし、それを極めるかどうかを決めるきっかけは前者の場合もある。

茶道における作法は「点前」。無駄な動きを省き、決められた手順で菓子やお茶を出し、またはいただくのが茶道ではありません。「亭主」と「客」の間の心配り、隣の客への気配りが重要。その結果、「隣人に『お先に』と言い、亭主に『お点前頂戴いたします』と言ってからお茶をいただく」「茶碗は相手に正面を向けて差し出すが、いただくときは正面を避けるために二、三度に分けて茶碗を回す」という所作が生まれるのです。
なので、見た目は手順どおりだが気持ちが込められていない黒樹くんの給仕(気持ちの問題だけではなく、「点前」とは単にお茶菓子をお出しするだけではなく、茶室の準備(誂え)から片付けまでを含めての作法なので、彼のしたことは給仕に過ぎない)やお点前頂戴(隣にいた剣城さんに対して「お先に」と言わず、茶碗に口をつけた。また、縁を拭わずに茶碗を返した)に違和感を覚えたのかもしれません。

「好きとは何か?」ということで本当に悩んでいた琴爪さん。好きになるというのは、「好きだ」という気持ちがあるからこそ。そうして、その気持ちは「楽しい」から生まれてくる。楽しくなければ好きにはなれない。それを、黒樹くんの無難な振る舞いと宇佐美さんの「気持ちが直結」した?振る舞いの対比で見せていたように見えます。
また、琴爪さんが悩んでいた中で黒樹くんが発した言葉の数々。お互いに内面の探り合いをしていたのかもしれませんが、そのうちのいくつかは図星だったようです。心に響いた発言と、思うところがあって黒樹くんの心を試したら「わたしの策略にかかったわね」という結果が出た「おもしろさ」の間で何を考えていたのでしょうか?
(もしかすると、琴爪さんは黒樹くんが何かしらの現実から目を背けて闇に逃げ、このような行動に出ていることに気づいているのかもしれません)

最後に、黒樹くんと琴爪さんそれぞれの「油断しちゃった?かわいいところあるよね?」発言が対照的だったことに触れて、今回はお開きにしたいと思います。