蔵王の狐村

Red Fox
宮城県にある、キツネを敷地内で放し飼いにしている施設を訪問してみました。

宮城蔵王キツネ村
宮城蔵王キツネ村

  • 1990年に開園
  • 放し飼いが有名だが、キツネの繁殖や飼育に関する研究施設としての役割もある
  • 宮城県白石市
  • 午前九時に開園(定休日は公式ウェブサイトを参照)、入場料は大人1,000円


交通が不便な場所であるにも関わらず、外国人の訪問も多いこの施設。
一般に公開されているエリアのうち、多くを占める放し飼いエリアはこのような感じ。

Red Fox
檻に囲まれたエリア内で、キツネたちが自由に歩き回っています。

Foxes
ヒトの休憩場所を兼ねたエサ場の周辺。
*エサ場のデッキにはキツネが入れないようになっています。

Red Fox
以上は表向きの能書き。ここからは、この施設を訪問して感じたことを述べてみます。

Red Fox
まず、この施設を動物園等でよく見られる「ふれあい動物園」の延長で考えている人たちが多いように見えます。冬の積雪時期であるにも関わらず、街中を歩くような格好で来る人が見られました。
しかし、ここは決して「ふれあい動物園」ではないのです。
Red Fox
一般にキツネは群れをつくらないとされており、限られたスペースにそれなりの頭数で放たれているキツネたちなので、優劣をつけるなどの理由によりこのような光景が目の前で繰り広げられることもあります(ただし、噛み合ってはいない)。施設の注意事項にもありますが、キツネたちには決して近づいたり触ったりしてはいけないのです。ここは、ヒトと(ペットではない)動物が適切な距離をとって行動を観察する場所。
Red Fox
また、訪問した人の声で多いのが「『自己責任』がくどい」「通路にキツネの落し物が多い」という内容。キツネがこのような威嚇顔を見せることもあることを考えると、係員による「(襲われるから)立ち止まらず常に歩け」「手は出すな」などの注意事項の説明も自然と強い口調になると思いますし、だからといってキツネに「ヒトとやさしく接してね」と教育するわけにもいかないので、放し飼いエリアの利用が(日本人が苦手な)by your own riskであるのは当然と考えます。
また、「落し物」の件についても、同様の状況は動物園等の「ウォークインバードケージ」や「カンガルー等の柵内で観察可能な場所」でも見られるもの。施設により清掃の頻度に差があるかもしれませんが、騒ぐほどのものではないと思います。

画像はありませんが、ここでは繁殖や治療などのために檻に入れられているキツネたちも多くみられます。おそらくは、この様子を見て「かわいそう」という気持ちを抱く人が多いように見えますが、動物同士の相性や状態に応じてお互いを隔離して飼育する、個体の状態を管理してケアをするというやり方も多くの動物園等で見られる施策。ここが単なる観光施設ではなく繁殖飼育のための施設でもあることを考えると、ある程度は理解する必要があるかもしれません。


最後に、この施設ではウサギやヤギなども飼育されていたり、「磁場を感じたり、『先にお風呂』と言われたりする黄色い桶」を2017年12月現在販売したりしていることを紹介しておきます。