カーニバルで喜んだのは誰か?

かつて上映された映画「チクタク危機一髪!」は、テレビシリーズ本編の「日向さんと美翔さんの出会い」のシーンを知らないと理解するのが難しい場面がありました。一方で、映画「花の都でファッションショー…ですか!?」は、なぜ明堂院さんが一人称として「ぼく」を使うのかを改めて説明する場面があるなど、映画から入った人にもある程度背景が理解しやすい構成になっていたように思います。

で、2015年3月14日から全国の主要映画館で上映が開始された「春のカーニバル」。これは、どちらに入るのでしょうか?
(以下、内容についてネタバレにつながる可能性のある表現が含まれますので、まだごらんになっていない方はお気をつけください。)

大きく分けて10世代に渡って登場してきた、総勢40人の戦士たちと、約29人の主な妖精さんたち(伝統的に、妖精さんは人間扱い)。それぞれを限られた時間内で説明したら、それだけで終わってしまうので、必然的に「前者」にならざるを得ません。

登場人物がそういう状況であれば、各世代の場面設定や背景を説明する時間などが存在できるとは考えられませんので、いきなりディープなネタを持ってくるか、または「ただその場にいるだけ」とせざるを得ないでしょう。たとえば、夢原さんたちと妖精さんたちとの関係や、星空さんたちと妖精さんたちの関係。はじめてスクリーンを見て「えっ!?」と思う人もいるかと思いますが、そういう場合は、自分の置かれた立場を春野さんたちに置き換えてみると、同じくその場で初めて仲間たちの関係性を知った登場人物の気持ちを少しは理解できるかもしれません。

そういう言い訳を用意したところでこの作品を振り返ってみると、大きな問題がひとつあると思われます。それは、どこでストーリーが動くのかがわかりづらいということ。具体的には、前半の場面展開を見ている際に「このまま歌って終わってしまうのか?」と思ってしまうほど。各世代の方々たちに歌わせるのはいいのですが、その裏で何かが起こっているということを、早い段階から匂わせるべきだったのではないでしょうか?
また、「本編中の約20分程度?は、歌と踊りで占められる」という事前情報(出所は失念)を知っていたため、あまり驚かなかったのですが、そうでない人がこれを観たら、「結局、これは何の話だったのか?」になりかねないような気がします。

この作品を観てどう考えるかは両極端になることが予想されますので、ここで触れるのはやめておきますが、それでも前述の内容だけは気になりましたので、記しておきました。

最後に、この映画を観た帰りに、から揚げ入りのカレーライスを食べた人がどのくらいいるのか、気になります。