産業遺産から学ぶ

東京都江戸川区にある「地下鉄博物館」。そこには、いくつかの近代化産業遺産が保存されています。
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その中の一つが、旧・東京地下鉄道の1000形電車。1927年に製造され、1968年まで使用された車両です。
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当時から間接照明や木目調不燃材料等を使用した内装が特徴。
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そうして、外側に跳ね上がったままの状態になっているつり手。
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実は、このつり手は画像のように動くようになっています。

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今回注目するのは、このつり手。RICOというブランドの金属製で、「リコ式」と呼ばれたりするタイプのものです。
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根元にはばねが入っており、引っ張った状態からつり手を離すと、ばねの力で元の位置に戻るようになっています。
しかし、つり手自体が金属製の上、復元用のばねはかなり強いので、軌跡の先に何かがあった場合、十分「凶器」として成り立ってしまいます。実際、これが他の乗客の頭を直撃することも多かったようで……。

「人の頭を殴ってないし……。それに、ばねで跳ね上がるのは、計算どおりだから……。」(RICOのつぶやき)

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こちらは、丸の内線で使用されていた300形電車。1953年から製造され、1995年までには引退した系列の内装です。
(個人的には、強引に製造当初の姿に戻すよりも、この車両のように引退当時の姿で保存するほうがよりリアルで好ましいと考えます)
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この車両も、製造当初は「リコ式」のつり手を装着していたそうですが、後に一般的なつり革へと変更されています。

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その他、この博物館では「打子式」と呼ばれる自動列車停止装置(ATS)が展示されていたり、
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トンネルの実物大断面が展示されていたりするので、そちらをじっくりと見るのもよいと思います。