でんせん病

この世の中には、病院や診療所に行っても治療できない「でんせん病」が一部で蔓延しています。それは「電線病」。オーディオ関係で「ケーブルを変えれば音が変わる」といわれており、自分の中でのチャンピオンケーブルが現れるまでケーブルを買い換え続ける病のことです。
しかし、この「病」は問題の本質をきちんと把握することにより治癒までの期間を短縮できるかもしれません。

以下、ネットワークオーディオを前提にした議論となります。
音を議論する際の意見パターンは、大きく分けて三種類あると考えます。

(1)取り込んでも音なんか変わらない、変わるわけがない。
(2)CDから再生するのに比べ、高域低域ともに伸びるから、取り込んだもののほうが高音質。
(3)CDの癖を含めてそのまま取り込めれば高音質、キャラクターが変わったら変質しているからだめ。

それを踏まえた上で、今回の検討は以下のような環境で行ないました。
2016-7test
CD吸出しドライブとNASの間にPCがあり、PCにDACをつないでCDからの再生音とNASからの再生音を比較。本所では上記(3)のポリシーを採用し、両者の再生音に差異がないことが確認できたらCDドライブ~PC間にも手をつけるつもりで比較検討しました。

そのために用意したのが、こちらのLANケーブル。
cables
(a)CAT7対応と謳う細径ケーブル(芯線は単線、また二重シールドでないと思われる)。
(b)CAT7対応を謳う二重シールドケーブル(芯線はより線、また外皮の柔軟性あり)。
(c)ツイストペアの状態を常に正しく保てることを謳ったケーブル(芯線は単線)。

ここでは(a)を基準として(b)と(c)がどのように変わるかを比較してみました。

(a)を単体で聞くとそれなりにまとまって聞こえますが、CDから再生したものと比較すると高域の伸び、および低域の1オクターブ下の量感が劣って聞こえました(低域は倍音が目立って聞こえる)。

(b)に交換すると、(a)よりは低域の量感が上がりましたが、それは倍音の話。高域の伸びがいまいちなのもあり、その分全体が籠っているような印象を受けました。

(c)に交換すると、聴感におけるCDとの完全一致には至らないものの、音のバランスは最もCDに近いものとなりました。音の響きもきちんと残りますが派手さはないため、(2)派の方にはつまらない音に聞こえるかもしれません。

以上のことを踏まえ、(c)を本格採用することを決定。
2016-7
これで当方の「LAN性電線病」は収まりそうです。

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以下は、条件の補足。

  • CD吸出しドライブの設定は「常時静音モード」「Pure Readパーフェクトモード」
  • PC~Hub間は100Mbps、Hub~NAS間は1000Mbpsとするのが好適だったため、その速度で固定。
  • HubをFX-08MiniからGS108(または1000Mbps対応品)に交換することにより、音のアタックもきちんと残るようになった。
  • 事前に別のLANケーブルで0.5[m]と3[m]を比較した際、3[m]のほうが自然な音を得られたため、(c)は0.5[m]ではなく1[m]ものを入手。