知能は低下しない!

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「わーい!この前、『あまぞんちほー』で注文した『ブルーレイディスク付の書籍』が手元に届いたから内容を見てみたよ!
これを書いている時点ではまだ12分の8しか見られないし、書籍の本編には残り12分の4に関する内容も書かれているみたいなので、まずは付録の映像だけを見た感想を書くね!」

以下、とあるメディアミックスプロジェクトに含まれるアニメーション作品について、第八話までの当該映像を観て感じたことを、今さらですが「絶対にあきらめない!」風に記しています。フォーマットがそれに準じているので、一部わかりにくい構成になっていますが、その点ご了承ください。
*フォーマット:当該作品のタイトル名が本文に出てこない。他の感想サイトや公式解説文を読む前に書いている。記載内容が、公式の解釈と異なる場合がある。

一部で「知能が低下する」などと称されるこの作品。しかし、物語の内容をよく考えると知能の低下どころか、考察すべき内容にあふれた作品であるように感じました。

基本となるのは、
「ヒトって、どんな動物なの?」
「ヒトって、どんなところに住んでいるの?」
という疑問。これに対する回答のヒントは、各回に登場するキャラクタによって描かれていると考えます。
*本所では「ヒト」と「人間」は区別して記載しています。

まずわかりやすいのが、「速く走れない」「高く跳べない」「空を飛べない」などで示されるように、際立った身体的能力を持たない生物であること。一方で「透明のふたを開ける」「紙飛行機をつくる」「文字を読む」などといった一連の行動ができる生物であること。もっとも、これらはヒトがつくり出したものなので、ヒトと関わったことのない動物たちが真似できないのはもっともです。

次は、「カバ」さんの「自分の力で生きなければだめ」という発言。一見「パーク」の掟のように見えますが、よく考えるとこれは「個」と「群れ」の考え方の違いが現れた発言。
一方で、野生の世界では接点がないであろう「カワウソ」さんと「ジャガー」さんが力を合わせて浮き橋のようなものを架設したり、「ビーバー」さんと「プレーリードッグ」さんが自分の得意分野?を活かして共同で住居をこしらえる話の展開。実はここが一つのポイントでして、「カバ」さんのような考え方で終わってしまうのが「ヒト」であり、見ず知らずの相手と共同作業で一つの目標を達成できる能力を発揮できるヒトが「人間」(一部の野生生物もファミリーで行動したり、群れで狩りをしたりすることがありますが……)。

もう一つ見ておきたいのが、「ライオン」さんと「ヘラジカ」さんの戦い。第五十一回の戦までは単に力による勝ち負けの判断。しかし、第五十二回の戦で「かばん」さんによって「ルール」という概念が持ち込まれました。「力尽きたら負け」から「一定の状態に陥ったら負け」への変化。その後も「フェネック」さんが球を蹴ったときに「反則だ」という発言がありましたが、「反則」という概念も人間的な発想から生まれるものだと考えます。

では、ヒトはどのような場所に生息しているのか?
深海や高山に定住はしていませんが、「ねったい」から「なんきょく」、さらには「うちゅう」といった生息に適さない場所においても生活できるような建造物(環境)を用意した上で長期間滞在できるのが人間。周囲の環境が適合する場所に住むのが一般的な生物であり、住むのに適した環境をつくり出すのが人間。
一方で、ヒトとして単独で極限地方で生活することはなく、また移住という行為もヒト同士の関わり(=人間)が欠かせないのも特徴といえるでしょう。なので、「港」という場所で最後にヒトを目撃し、ある日を境に姿を消したという言い伝えを残せるのも、ヒトならではの行動があってこそ。放浪はしても移住の概念を持たない動物からしたら、それは「絶滅」と見えても仕方ないのかもしれません。

この作品に限らず、「登場人物の発言を真に受けて『たーのしー!』で終わる」人や「発言内容や過去の類似作品等から話の結末を予想して終わり」な人が多いと思いますが、そこで止まってしまうのはもったいないので、時には一つひとつの発言や行動に込められた意味あいについて考えるのもよろしいかと思います。

【追記】
自称「賢い博士と助手」が「料理」の定義について説明する場面がありますが、普段の生活において料理の定義を考えたりすることはまずないので、これは意外と難しいことのように思います。

【and more…】
アニメーション作品が大きな話題になったため、元となったメディアミックスプロジェクトとのコラボレーションも各地で行なわれるようになりました。
一般的なアニメーション作品とのコラボレーションでは「グッズ販売」「看板掲出」あたりがメイン(というか、それしかない場合もある)になるかとと思いますが、この作品では

  • 「東武動物公園」や「那須どうぶつ王国」での「おにいさん・おねえさん」にスポットを当てた動物解説
  • 「日本中央競馬会」の同作品コラボレーションウェブページ内「ウマのトリビア」

などのように、「としょかん」以外で新たな知識を入手できるような企画も含まれていたりするし、それ以外にも同作品をきっかけに「動物園に行こう」という動機につながったりしているので、そういう点では好ましい傾向にあると思います。

【おことわり】
本文冒頭の画像は、下記のウェブサイト
https://aratama.github.io/kemonogen/
で作成したものを使用しています。