生物を英文と中文で見てみる

日本国内の動物園や水族館等でも、生物紹介に英文や中文、ハングル文字を併記している施設が増えてきました。そこで、その生物の名前の意味を知るために英文や中文表記を参考にすることを提案してみます。
*ハングル文字は表音文字(素性文字)なので、この用途で使用するのは難しいと思われます。

ワオキツネザル/Ring-tailed lemur
たとえば、この生物。
和名は「ワオキツネザル」ですが、「ワオ」が”Wao!”に見えた方もいらっしゃると思います。しかし、英語で表記すると”Ring-tailed Lemur”となるので、「ワオ」は「輪尾」であることがわかります。
さらに中文表記を見ると「環尾狐猴」となるので、やはり「しっぽに白と黒の輪状の斑紋が見られる」外見的特徴が名前の由来になっていることがわかります。

ここからはややこしい話になりますが、”Lemur”はキツネザルを示し、「猴」は類人猿以外の霊長類を示すので、「サル・猿」や”monkey”と混同しないように注意したいところです。
(詳細は、オンラインのフリー百科事典等を参照してください。リンク先はWebITK外部のウェブサイトとなり、リンク先が予告なく変更となる場合もありますのでご了承ください)

ツチブタ(Aardvark)のイラスト
一方、「夜行性動物館」などで見かけることがある「ツチブタ」。豚の仲間だと思われることが多い生物ですが、実際はツチブタ目ツチブタ科ツチブタ属に属する唯一の生物であり、偶蹄目イノシシ科に属する「ブタ」とは異なります。
そんなツチブタの英語名は”Aardvark”。”Pig”という単語が出てこないので、なんとなく関連性のなさを感じることができます。しかし、中文では「土豬」。「豬」はいわゆる「ブタ(豚)」を指す文字なので、中文だけを見ると日本語と同様の勘違いをする可能性がある一方、中国でも「ツチブタ」を「ブタに似た形状の鼻があるという外見的特徴を持つ生物」としてとらえていることがわかります。

オグロプレーリ-ドッグ(Black-tailed prairie dog)の案内看板
こちらも興味深い例。
「オグロプレーリードッグ」の英語名称は「黒いしっぽのプレーリードッグ」を意味していますが、中文名称は「黒いしっぽの草原の犬みたいな(鳴き声を出す)鼠」を意味しています。プレーリードッグ自体、げっ歯目(ネズミ目)に属しているため、「鼠」がついているのは非常に適切です。
アメリカビーバー(American beaver)の案内看板
そうかと思えば、「ビーバー」の中文名称が「海狸(または「河狸」)」。この場合、ビーバーもげっ歯目なのに「狸」(ネコ目イヌ科タヌキ属)に見立てられているので、本記事的に残念なことになっています。
参考までに、ハングル文字をそのまま読むと「アメリカビーバー」になるので、日本語のカタカナを読むのと同じような状況になっています。

このように、他国語の単語から別の発見をすることができる場合もあるので、「英語、中国語はわからない」という方も単語レベルで意味合いを感じてみてはいかがでしょうか?