勝手にDC~韮山の反射炉

韮山反射炉本体
「反射炉」というと、この画像のようなものを想像される方が多いと思います。確かに間違ってはいないのですが、反射炉だけでは成り立たないものも存在します。

韮山反射炉案内板
韮山反射炉

  • 1857年にしゅん工
  • 1864年に使用終了
  • 1908年には補修工事が行なわれ、1950年代や1980年代にも保存のための修理が実施された
  • 1922年に国の史跡に指定される
  • 2007年に「『近代技術導入事始め』海防を目的とした近代黎明期の技術導入の歩みを物語る近代化産業遺産群」(近代化産業遺産群33の1番)の構成遺産に認定される
  • 2015年に世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成遺産(登録ID1484-009)に登録される
  • 静岡県伊豆の国市
  • 一部の日を除く午前九時から観覧可能、観覧料は大人500円

韮山反射炉ガイダンスセンター
反射炉が残っている区域へ入場するためには、このガイダンスセンターを通過する必要があります。そうして、「座学」でこの場所の基礎知識を得てから現場に移動すると、より深くこの場所を味わうことができます。

韮山反射炉 焚口と鋳口
「焚口」と「鋳口」の開口部から見える範囲で中をのぞき込むと、反射炉がなぜ「反射」なのかということが見えてくるかと思います。火力をそのまま使うのではなく、内部で反射した熱を用いて鉄を溶かすという、シンプルながらよく考えられた構造。
韮山反射炉 出湯口と鋳台跡
反射炉が鉄を溶解するための設備なので、溶けた鉄の形を変えて意味のあるものに仕上げる必要があります。その遺構として残っているのが、この「鋳台」。鋳型を置いていた場所の痕跡が地下にあるとのこと。
韮山古川の説明板
そうして、ここで重要なのが「システム」の存在。かつては鋳込みと加工を一貫して行なうことができる設備群があったとされますが、現在残っているのは反射炉と、加工用の動力を供給していた川だけ。本エリア周辺のこの河川や敷地自体も、世界遺産の構成要素になっています。
また、本来の目的で使用された期間よりも、保存活動に費やされた期間のほうがはるかに長いことにも注目したいところ。

韮山反射炉遠景
予備知識なしで遠くから見ると、この反射炉が単体で存在しているように見えてしまいます。しかし、前述のとおり、これは大砲の一貫製造システムのうちの一部。製造した品物に賛否があるとは思いますが、1800年代半ばの「近代的な」工業をイメージしながら観覧したいものです。